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□羨ましい奴
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「羨むなら少しは見習ったらどうだ?紳士的な仕種とか。」
「何をぉーっ!お前には見せてねぇけど、女のコに対して俺はいつも紳士的だぞ!」
あんなキザの真似なんかしてたまるか!
「御剣はお前みたいに、すぐ喚き立てたりしないよ…都合悪いと黙り込むけど。」
「うぐっ…!で、でも俺、昔から手先は器用だぜ!あいつはぶきっちょだけどな。」
「御剣が不器用なのは、むしろチャームポイントだろ。本当にあれで何でもこなせたら人間として自信無くすよ、誰だって。何か一つ位は欠点が無いと変だよ、ロボットみたいで。」
「…お前…」
「…まぁ、矢張には矢張なりに良い所があるかもしれな」
「っ!お、俺の良い所ってドコだよ!」
「へ!?あ…えっと…」
成歩堂からの珍しい褒め言葉に期待感を膨らませた俺だが、思い付かない様子だ。
「………俺、やっぱり………死ぬわ。」
「わぁーっ!泣くな泣くな!ほら、その、アレだよ、えっと…あぁ、そうそう!惚れたら一途な所!…多分。」
「……それだけか…?」
本当に『好きな奴』と『それ以外』の境目がキッパリしていてわかりやすいな、成歩堂…悲しくなるぜ、そんなお前でも好きな俺が。

「…しつこい男は嫌われるぞ。成歩堂の仕事を邪魔するなら帰りたまえ。ここは暇人の遊び場ではないのだからな。」

突然の『件の人物』の登場に、俺は慌てふためいた。
「っ!御剣!?お前何でここに!?仕事はどうしたんだよ!」
「地方研修の帰りだ。近くまで来たので、これを…。」
コイツ…成歩堂の好きな菓子をわざわざ選んだこの小憎らしさときたら…!
「わぁ!これ好きなんだ、ありがとう、御剣。事務所に来るなら連絡くれればよかったのに…今紅茶いれるから、座って待っててくれよ。」
…俺が来た時には『忙しい』って追い返そうとしたクセに…。
「む…ではお言葉に甘えて…」
「あ、俺も茶ぁおかわり!」
「ううう…」
成歩堂は、恨めしそうに俺を睨むと給湯スペースに向かった。
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