逆裁王国パロ

□薔薇と戦火と青い星
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「お身体の具合は、もうよろしいのですか?」
「おじ様…『とても危険な状態』だったとか…私、本当に心配しておりました…」
お二人は、陛下にしがみつく様に寄り添いながら話された。
「クッ…可愛いコネコちゃん達に心配されると、俺も心苦しいぜ…。」
陛下も、お二人の頭を優しく撫でながら応えられた。
しかし…陛下の、この『相変わらず』な口調はいかがなモノか…。
「陛下…差し出がましい様ですが、近衛兵の隊長ではなくなったのですから、もう少しお言葉を正されては…?」
そう言われて、陛下は僕に向き直りながら一言。
「…久しぶりだな、コネコちゃん。」
「誰がコネコですかっ!」
ニヒルな笑顔を見せたが、やはり先の戦でお顔についた傷が痛々しかった。

数奇な運命の悪戯で、チヒロ王妃の旦那様になったが故に『国王陛下』になったソウリュウ様は、元は『近衛兵長』だった。
もちろん、僕は未だ一近衛兵。
ソウリュウ様の部下だったから、お顔や性格は知っていたが…。
「仮にも『王族』になられたのですから、もう少し気を使われた方が…」
「ほぅ?…この『俺』に意見しようってのかい…?」
「い、いえいえ、滅相もない!!(こ…恐えぇ〜!!)」
「あはは!リューイチ君、情けな−い!」
「ううう…(全くだ…)」
「お姫様達に良い様にあしらわれてちゃ…デッカイ男になれねぇぜ!」
「いやいや、あしらったのは陛下…」
「ほぅ…まだ俺の怖さがわかってねぇか?リューマチ…」
「いえいえ…って、僕はリューイチですから!」
「あはははは!リューイチ君のあだ名は、『リューマチ』君で決定!」
「マヨイ王女…(なんつーネーミングセンス…)」

…戦争だ何だと言っても、この国は今の所平和だ。
この平和が、少しでも長続きしてくれたら良いな…。

だが、そんなささやかな願いすら叶わないのだと知らされたのは、悲しくもその日の夜だった…。

   *   *   *

突撃の砲台が火を噴いた。
『て、敵襲−っ!!』
城の門番が叫んだ声が、私にも聞こえた。
「総員、突撃ぃ−っ!」
兵士長の指揮で、兵士達が剣を構え、我先にと城を目指した。
「私も行こう。」
馬を操ろうとした時、
「危険です、陛下!」
と、兵士長に止められた。
「我々を最後までてこずらせた相手、ここで私自ら戦争終結に向けて、アヤサト王国をこの手で…頼む、行かせてくれたまえ、兵士長。」
「陛下…」
散々悩んだ様だが、
「わかりました…それでは、これを…。」
「これは…?」
薄いミルク色をした、不思議な石らしき物をあしらった指輪を渡された。
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