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□夢のチカラ
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夢のチカラ

「成歩堂君、成歩堂君!!」
買い物から帰った真宵ちゃんが、事務所に入るなり勢い込んで話しかけてきた。
「な、何!?どうしたの?」
「さっき、本屋さんでちょっと立ち読みしたら、面白い話知ったんだ!」
「面白い話?」
どうせ占いで書かれていた何かか、三文記事程度の話だろうと思ったけど、とりあえず話したそうにしていたから、
「…その様子なら、聞かないって言っても無駄なんだろ?」
と確認したら、
「あはは、さっすが〜!あたしの行動パターン読めてきたね!」
特に動じず、どこか嬉しそうに言い放つ真宵ちゃん。
「夢を現実にする力を、どうやって身につけるかわかる?」
「…わからないし、別に知らなくても良いよ。」
面倒な方向に持っていかれそうだから、適当にスルーしてしまう事にした。
「もう!なるほど君には夢がないの?!」
と怒られたけど、
「夢ねぇ…」
言われて考えてみたけど、食べたい物は今の所無いし、家賃や生活費は欲しいけど夢とは違うし、なりたい職業には一応就いているし、成し遂げたい事は…
「…まぁ…無くも無いけど…」
「お、やっぱりあるんだ!あのね、叶えたい夢があるなら、それを『既に過去に達成した形』で、例えば『何月何日に、トノサマンショーで飛び入り出演しました!』みたいな感じで、どんな紙にでもいいから書くの。で、書いたら目につく所に貼っておくんだって。」
「…流石にそれは無理があるんじゃ…?」
「そんな事無いよ!信じれば叶うって!」
「そんなもんかなぁ…」
「あ、願い事を書いたら、最後には《達成できました、ありがとうございます!》って書いて、満面の笑みを浮かべた写真と一緒に貼るんだって。ね、ね、なるほど君の『叶えたい夢』って何なの?」
そ、それは…
「…ヒミツ。」
言ったら絶対バカにされる…。
「え〜!それじゃつまんないよ!ね−、教えてよ〜!」
「賑やかだな、ここは…」
「あ、御剣検事!こんにちは!」
「む…丁度良かった、真宵君。トノサマンショーの招待券が手に入ったのだが、春美君も一緒に行かないかね?もちろん、成歩堂の分もある。」
招待券を扇子みたいに広げて見せた。
「へ?僕も行くの?」
「君さえ良ければ、の話だが…」
…何だか、御剣の顔が赤い気がする…。
「わぁ、すっごいナイスタイミング!どうやら、あたしの願い事叶いそう!」
「そんなに行きたかったのかね?」
「もちろん!それにですね!」
御剣を無理矢理座らせて、先程の『夢のパワー』について語った。
「ふむ…信念、一念、岩をも通す…といった所か。」
「何ですか、それ?」
「強い念力は岩をも貫通する、とかっていう諺じゃなかったっけ?信じれば強い力になるっていう…」
「そっか、昔からある話なんだ!」
少し論点がズレた気もしなくはなかったけど、(御剣も混ざって)楽しく話せたのは良かったな…。
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