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□風鈴と花火
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風鈴と花火

†成歩堂視点

毎年恒例、ひょうたん湖の風鈴祭と花火大会。
風鈴祭は昼間の為、暑くても浴衣姿でデートを楽しみたい若い人達でいっぱいになる。
風鈴以外の出店も多く、毎年とても賑わう。
なかなかお祭りに縁が無い二人…真宵ちゃんと春美ちゃんを連れて来たのは正解だったな。
とても楽しそうにはしゃいでいる。
かくいう僕も、浴衣なんか着てお祭りに来てみた。
やっぱり浴衣はスーツと違って少し涼しいな。
「はみちゃん、あそこの射的!カワイイぬいぐるみがあるよ!あ、トノサマンの人形もある!ねぇねぇ、なるほどくん、あれ当てて!」
「そうですわ、なるほどくん!真宵さまの為にも、ぜひとも当ててくださいませ!」
「あれはなかなか当たらない様に出来ているんだから、諦めようよ。」
「諦めたらダメだよ、なるほどくん!人生、挑戦とやる気と捨て身の覚悟の連続だよ!」
たかだか射的で、そこまで…それにそんな連続は勘弁して欲しいな…。
「…成歩堂龍一に綾里真宵…それに綾里春美…こんな所で会うなんて奇遇ね。」
人をフルネームで呼ぶ、聞き覚えのある声。
振り返ると、いつものスタイルで凜と立つ狩魔冥がいた。
「狩魔検事じゃないですか!こんにちは!」
「こんにちは、狩魔冥。こんな所で何を?」
「レイジの所へ野暮用で寄った際、ここでフェスティバルをしていると聞いたので、ちょっと息抜きがてら見に来たのよ。それにしても…これだけたくさんのウィンドベルを見るのは初めてだわ…ペイントのデザインはそこそこだけど、一斉に風に吹かれたガラスの音が涼し気で、悪くないわね。」
初めての風鈴を見つめて珍しく柔らかな表情を浮かべた狩魔冥に、『普段大人ぶっていても、やっぱり真宵ちゃんと同じ年頃の女の子だなぁ…初めての風鈴を見てワクワクするなんて、結構カワイイ所あるよな…』と思った。

その刹那。

ビュン、ビシィッ!

「痛ぇっ!」
いきなり打たれてしまった。
「失礼なのは貴方の顔だけになさい!」
「ど、どういう意味だよそれ。イテテ…」
「何か失礼な事を考えている顔付きで、私を見ていたわ。故にその不埒な顔を打ったのよ。」
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