一般向け小説置場

□羨ましい奴
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今日はバイトが休みだから、遊びに行ってみる事にした。
…彼女と別れたばかりの俺が寂しさを紛らわせる、『いつもの場所』となりつつあった成歩堂の事務所に。

可愛い真宵ちゃんに会って、真宵ちゃんがいれてくれた美味いお茶(しかもタダ)を飲むのも楽しみなんだけど、実は俺の目的はもう一つある。

ガキの頃からのダチで、今は弁護士事務所の所長やってる、真宵ちゃんみてぇな綺麗な黒髪を後ろにおっ立てた幼馴染み…成歩堂龍一。

実は…俺が昔っから秘かに想いを寄せている相手だ。

仕事してる時の成歩堂のカッコ良さは、以前から知っていた。
(何しろ、アイツの初仕事の依頼人が俺なんだからな。)
それに反して、プライベートでは『からかい甲斐』のある可愛い奴だって事も…。
見ていて飽きねぇんだよな、アイツの反応。
『好きだからイジメたくなる』奴には、たまんねぇタイプだろうな。

だが…『面白くない』事が一つある。

もう一人の幼馴染みこと、御剣怜侍。
成歩堂と正反対の仕事…検事をやってる男だ。
何が気に食わねぇって、アイツ女にモテまくるクセに、あろう事か成歩堂の心パクりやがったんだぜ?!

くそぅ…御剣の野郎…。

「…羨ましいよなぁ…。」
「…何だよ急に。」
「ん?御剣だよ、御剣。あいつが羨ましいな〜って。」
「御剣の事が羨ましい人間なんて、狩魔冥以外ほとんどだろ?顔綺麗だし、ガタイも頭も良いし、金持ちだし、紳士的だし。不器用でちょっととっつきにくいトコあるけど、あれで意外と優しいし。女の人なら大体惚れるだろ?」
その台詞…惚れた欲目みてぇだとは気付いてねぇな、きっと。
「…まぁな。」
面白くねぇ。
「…何で急にそんな話を…?」
あ、やっぱ気になるのか?
「前にさ、ちょっとした話の流れでエリナにガキん頃のアルバム見せたんだよ。」
「…そのエリナさんとかいう女性が、たまたま見つけた御剣に注目したとか何とかなんだろ…子供の頃から格好良いから、特に目立ってたし。」
「な、何でわかったんだよ!エスパーかよお前!」
ちょっと『以心伝心』みてぇで嬉しかったのに…
「長年の友達としての勘。」
「…勘かよ…」
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