一般向け小説置場

□君を護る為ならば…
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今後の法廷についての打ち合わせの為に呼んだのだが、いつも少し遅れる成歩堂を待つつもりでいた。
赤のナイトで四方固められた青のポーンを目の前に、過去の事を思い出した。
そんな時。
「ごめん、遅れて。…何してんの?」
成歩堂の声。
私がチェスボードを前に考え込んでいる様子を見れば、当然の台詞だろう。
「この並び…意味を覚えているか?」
「ん?…あぁ…前に言っていたっけ。この頭が丸いのはポーンで僕、赤の馬の形がナイトの御剣。ポーンは確か…将棋の『歩』にあたるんだったよな?わざわざこの並びにしたって事だったから、何でなのか聞いたんだよな。あの時は、『四方から、愛しい君を見つめる様に護っている』とか、サラっと恥ずかしい事言ってくれたよね。どちらかというと『しれっと』っていう方が合うかな。」
「私は君を護る役。そして、君を〔前向きに、ひたむきに、一歩ずつでも前進していく者〕として表現している。成歩堂…私は例え何が起ころうとも…例えこの身を犠牲にしようと、君を護る。」
「…相変わらずキザだなぁ…。でも、そんな御剣が好きだよ。」
柔らかく笑って、抱き着いて来た。
近くで見つめると、あの頃と変わらない綺麗な黒曜石の様な瞳が輝いていた。
「牙琉にしてやられた時、お前が側に居てくれたから、みぬきの事もちゃんと面倒見られたし、秘密裏に捜査も出来た。僕を護るって約束、守ってくれてありがとう。本当に感謝してるよ、御剣。」
「何を言う…感謝しているのは私だ。狩魔豪検事の罠と、暗黒の悪夢から私を救ってくれた君を、私は一生…いや、来世があるなら来世までも尽くしたい…。」
「大袈裟だなぁ…まぁ、僕も学級裁判で助けてくれた御剣には、同じ様に恩義を感じているから解らなくもないけど…。」
「成歩堂。」
「ん?」
「こんな言葉でしか言えないのはもどかしいが…君を愛している。他の何物にも代えられない位に。」
「御剣…僕も御剣を愛している。片時も離したくない位。」
私達の愛は、子孫を遺す事は出来ないが沢山愛し合って生きていく事は出来る。

…養子は増やしても良いかも知れないな。


End

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