逆裁王国パロ

□薔薇と戦火と青い星
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薔薇と戦火と青い星

カルマ王国とアヤサト王国との戦争が続いて、はや5年…戦続きで、国政すらままならぬ…。
しかし、内密にしてあるとはいえ、先の陛下は1年前私に後を任されて逝去された…『意味の無い戦』ならやめられるが、引き継がない訳にはいかない。
陛下の言葉が、今も胸に残っている…

『レイジよ…お前はカルマ王国の新しい王となり、この戦争に勝利し、植民地を広げるのだ…全ては〈カルマ帝国〉建国の為…逆らうものは…全て排除しろ…私に恩義を感じているなら、な…』

「陛下。本日中にも、隣国の攻め落としが成功するものと思われます。」
一兵隊長が、戦況報告に来た。
「…アヤサトを攻め落とすのに、ここまで時間がかかるなんてね。」
隣の玉座にかけていたメイが、ため息混じりに呟いた。
「かの国は確か、先王の軍勢に一度は勝利していたはず…気が抜けないな。」
「王妃の不思議な術によって入城すら不可能だった、とかいう馬鹿げた報告が印象的だったわね。」
「しかし、コナカ将軍の策によって王妃が『倒れた』今、恐れるものは無い。非常にこちらが有利だ。」
もっともコナカ将軍は功績を挙げた直後、隣国の一兵卒に『粛正』されたとか…。
「コナカ将軍を粛正した、あの兵卒の名前は何だったか…?」
「確か…リューイチ…とかいったかしら?噂では『青い星』等と呼ばれているそうだけど、由来までは知らないわ。」
通り名がついている辺り、さぞや強いのだろう。
「ふむ…かの兵卒が、我が軍勢に加われば…」
「あら?確か…『草(スパイの意味)』の報告では、リューイチはそんなに剣の腕が達つ訳ではないらしいわよ?」
「む…?では、通り名の意味がないではないか。」

   *   *   *

アヤサト王国

「はっ!やっ!たぁっ!……っえっくしっ!!」
いつもの様に剣の練習に励んでいたら、急にくしゃみが出てしまった。
「あれ?リューイチ君、風邪?」
稽古場の側にある花壇で散歩されていたマヨイ王女(チヒロ王妃の妹君)と、王女の従姉妹のハルミ姫に話しかけられた。
「まあ、それは大変ですわ!マヨイ様にうつされでもしたら…」
今や二人きりの従姉妹同士だからか、ハルミ姫はマヨイ王女にべったりだ。
「ハミちゃん…少し位はリューイチ君の心配も…」
「まぁ!やはりマヨイ様はリューイチ君を…きゃあ、ステキですぅ!」
可愛らしい仕草ではにかみながら、とんでもない勘違いをしていた。
「は、ハルミ姫…(どこからそんな誤解を…)」
「クッ…仲良き事は美しきかな、だぜ…」
「ソウリュウ陛下!」
「あ、おじ様!」
「陛下!?」
お二人は、慕わし気に陛下の元へ駆け寄って行かれた。
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