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□九代目Web拍手
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今回は、『4解決後、初詣ミツナル』べす

   *   *   *

しん…と、静まり返った『成歩堂なんでも事務所』。
今日は、流石に事務所も正月休みだ。

「…あっという間だったな…」
ここには悲しい思い出もあるけど、それを感じさせない位に楽しい思い出もたくさん出来た。
真宵ちゃんや春美ちゃんと過ごしたクリスマス…矢張や星影先生と過ごした年末の飲み会。
みぬきやオドロキ君が来てから、随分活気づいた事も、今でもたまに、御剣が定時退社後に食事や飲みに誘ってくれたり…。

現役の頃も、たくさんの事件に遭遇し、たくさんの人達と会ったな…。

そして今日は…

「すまない。思ったより混んでいた。」
「ううん…僕もついさっき着いた所さ。」
「そうか。では行こう。これ以上遅くなると、帰りが大変だ。」
「そうだね、行こうか。」
そう、新年は御剣と二人きりで初詣に行く約束をしていた。

着いたのは、千尋さんが眠る倉院の里。
先にお参りをした後、千尋さんに新年の挨拶をしようと思って。
「あれ?この花束…」
墓前に手向けられていたのは、季節はずれながらも綺麗な、小振りのヒマワリ。
「…恐らく、神ノ木氏だろう…。」
と、御剣が呟いた。
そういえば、初詣に誘ったら
《デートのお誘いは嬉しいが、出来れば一人で行かせてほしい所があるのさ。》
と、半分冗談みたいにかわされたけど、あれはこの事を指していたのか…。

『神ノ木さん…やっぱり千尋さんの事、まだ愛してるんだな…いくら昏睡していたとはいえ、愛した人が自分の知らない内に死んでいたなんて突然聞かされたら…』
そんな事を想像していたら、不意に涙が溢れた。
自分と神ノ木さん、御剣と千尋さんに、それぞれ置き換えて考えてみたら、胸が張り裂けそうな程に痛く、苦しくなったのだ。
僕が急に立ち止まったから、少し先で振り向いた御剣は、僕が想像で泣いたとは思わなかったのだろう、酷く慌てた様子で尋ねた。
「…!成歩堂、どうした!?」
「ごめん、ちょっとね…御剣は…こんな事言ったら呆れるかな…?」

僕は、呆れられるのを覚悟で、先の想像を話した。
すると…

「…成歩堂…君は相変わらず優しいな…」
御剣は、周りに誰もいないのを良い事に、ふんわりと僕を抱き寄せた。
「私以外に優しいのは、些か不愉快だが…そんな君も、私は好きだ。」
「御剣…」
向き合うと、御剣は親指で涙をそっと拭いてくれた。
そして、僕の右手を御剣の心臓付近に導いて触れさせると、
「約束しよう、成歩堂。私は、決して君を置いて逝ったりしない。」
と、静かに…でも、力強い意志をもって誓う様に、僕を見つめながら宣言した。
「御剣…!」
御剣の優しさがすごく切なくて、僕は御剣の胸に飛び込んだ。
「御剣…僕も、君を置いて逝かない…!」
「生死を共にしよう、成歩堂。」
「…うん…!」
握りしめた手の温もりが、命の鼓動が、この先も決して千切れません様に…僕は秘かに願った…。


End

※ニットさんは、御ったんの前では成に戻ります。
二人きりになると、たまに弁護士時代より素直に甘えたりします。
普段はみぬきちゃんやオドロキ君相手に、父親らしくしているつもり(笑)なので…いや、ぶっちゃけ筆者が『黒なるる』表現するのが苦手なんで(←ヲイ…)、『ニットさんは、反ってなるるより甘えん坊さんにしてしまえ〜♪』的なノリに…した割にはシリアス風な…
V;oTZ

新年一発目から、外してしまった気が…V;


こ、こんな私べすが、本年もよろしくお願い申しあげます。
m(__)m

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