過去Web拍手

□七代目Web拍手
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イトノコさんから、御剣が風邪で休んだと連絡を受けた。
マンションに行ってみると、確かに御剣は赤い顔で。
「な、成歩堂、何故ここに…っくしょん!ゲホッ!ゲホッ!」
声が嗄れていた。
「御剣、大丈夫か?」
「む…仕方なく持ち帰り仕事をしていた所だ…」
ぐずぐずと鼻を鳴らしていた。
「ダメじゃないか、ちゃんと寝ていないと!熱は?」
「む…計ってない…。」
「薬は…?」
「…飲んでない…」
「…食事は…?」
「…その…食べていない…」
僕の中で、何かがぷちっと切れた。
「いいか、御剣!これから軽食作ってやるから、それ食ったら薬飲んで寝ろ!」
来る途中で、額の冷却シート買っておいて正解だったよ、本当…。

キッチンを借りてお粥を作ってやり、嫌がる御剣の額に冷却シートを張り付けて、解熱剤を飲ませて、無理矢理寝かし付けた。
「全く…手がかかる子供か。」
「…そういう君は、まるで母親だな…。」
「まっ、お母さんは、そんなに気難しい子に育てた覚えはありませんよ?なんてな。てぇか、父親でいいじゃないか。僕、男なんだし。」
悪ノリしてから異議をとなえたけど。
「…私の父は…私が風邪になった時でも、看る暇が無かったからな…」
「あ…ごめん…辛い事思い出させて…」
「いや、気にするな…今は、君が私の面倒をみてくれるのだからな…ゲホッ!」
「御剣…早く良くなるといいな。」
そう祈りながら、手を握りしめた。
熱い手が、力無く握り返した。
「ああ…もし君が風邪をひいたら、私が優しく面倒をみてやろう。」
「…うん。」
それから暫く、御剣が眠るまで手を握っていた…。


End

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