過去Web拍手

□四代目Web拍手
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成歩堂さんが、本格的に弁護士復帰に向けての準備と手伝いを頼んだから、俺は二つ返事で請け負った。
「ごめんね、オドロキ君。みぬきが夏休みだからって、昨日から友達同士で互いの家にお泊りに行っててさ…」
と、寂しさからか、ぶつぶつ言い始めた。
「まぁまぁ。気を取り直して、復帰試験の勉強を始めましょうよ。」
〔んー…〕と、あまり乗り気ではなさそうな生返事を返す成歩堂さん。
「何か久々だなぁ、こういうの。司法試験を初めて受けた時の事思い出すなぁ…」
何だか、とても感慨深げに呟いた。

今日は気分をシャキっとさせる為と、ニット帽もジャージも暑いからという理由で、涼し気なパステルブルーのポロシャツに綿のパンツルック。
加えて、現役だった頃のあの特徴的なギザギザのヘアスタイルに、六法全書を小脇に抱えていて…
『うわぁ…何だか様になるなぁ、成歩堂さん。あ…今までわからなかったけど結構肩幅ある割に、胸板薄いなぁ…しかも、普段あんな自堕落してる風なのに、ウエストも案外細い…身長も平均よりちょい上位かな?脚もスラッとしてるし…スタイルを言うなら、結構カッコイイ部類なんじゃ…?でも、ヒゲ剃ると案外童顔だなぁ…』
普段〔ぎっちり〕と身体を包む様に着込んでいる成歩堂さんしか知らない俺は、サマールックの成歩堂さんが珍しくてつい凝視してしまった。
『…あ、今気付いたけど、夜勤(←?)が多かったから、二の腕や首筋の肌なんかも白いな……き…綺麗だな…さ、触ってみたい…』
なんて、思わず不謹慎な思いが込み上げ、生唾を飲み込んで、若干ネクタイを寛(くつろ)げようとした瞬間…
「…オドロキ君…何かヤラシイ事考えてない…?」
少し冷たい視線を寄越しながら、成歩堂さんが呟いた
うぐっ!ば、バレてた!?な、何で?!
しかし…そこまでバレているなら…
いやいや、やっぱりそれはマズすぎる!
「そんな、やましい気持ちはないですよ!」
「ホントに?何か、あんまりじろじろ見られたら集中しにくいんだけど…」
「す、すみません…」
再び六法全書と首っ引きで頑張る成歩堂さんに、お茶を準備した。
成歩堂さんの左側に置こうとしたら、突然手を掴まれた。
「っ!?」
「オドロキ君…」
まるで誘惑するかの様な、甘やかな響きを持った声がした。
「少し休憩してさ、それから続きをやろうよ。ね?」
時計を確認すると、いつの間にか2時間を過ぎていた。
「そうですね。お疲れ様でした。俺、肩でもマッサージしましょうか?」
「あ、じゃあお願いしようかな。」
〔痛くしないでね?〕なんて言われ(軽い口調ではあったが)、ちょっと意識してしまった自分が情けない…

手始めに優しく揉んだつもりだったが、
「やっ、痛…!」
なんて色っぽく言うから、俺は焦った。
「す、すみません!」
「も、もう少し優しくしてね?僕、痛いのヤなんだよ…」
同じ弁護士としての『純粋な憧れ』から『(淡いながらも)恋心』に変化していた事を自覚したのは、つい最近だ。
そんな成歩堂さんに、あんな甘い声とカワイイ台詞を漏らされたら…もっと聞きたくなるじゃないか!
『うわっ、ヤバい!』
若さ故に、俺の〔暴れん坊〕が我慢しきれずに、存在を主張し始めた。
「?オドロキ君?」
突然動きが止まった俺を訝しんだ成歩堂さんが振り返った。
意を決して、成歩堂さんの口唇に自分のそれを重ねた。
「お、オドロキ君っ?!」
少しして口唇を開放すると、成歩堂さんは黒曜石みたいな目を真ん丸にして赤くなっていた。
か…カワイイ!!
普段は飄々としてて、俺より一回り近く年上のクセに、何だかすごくカワイイ…!
「大丈夫です…痛くしませんから…」
「な、何言ってるんだ君は!」

…その後、体格差にも負けず、成歩堂さんを押し倒して〔あんな事〕を致してしまったのは、『二人だけの秘密』という事で…


End

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