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□三代目Web拍手
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今回は『響オド』話べす

   *   *   *

夕食の後片付けをしていた時、
「オドロキさん、ほら、王子様が出てますよ!」
テレビの歌番組で、ガリューウェーブが出演していたのを見つけたみぬきちゃんが、きゃいきゃいとはしゃいでいた。
「ギタリストだし、歌は上手だし、検事だし…カッコイイですよねぇ…まさしく『才色兼備』って感じです!」
「ん〜、そう…」
話し半分と、色々な悔しさが半分で、俺はあまりテレビを見ない様に食器洗いを始めた。
「オドロキさん、見ないんですか?」
「ああいう、ジャカジャカうるさい歌は好きじゃないんだよ。」
「そっかぁ…じゃあ、次回作はバラードにしようかな。」
突然、聞こえるはずのない声で返事が来たものだから、びっくりして皿を落としそうになった。
「な、な、何で牙琉検事がここに?!」
「あはは!オドロキさんたら、凄いリアクションでしたよ!」
「芸人になれるね。それも最高のピン芸人に。」
「し、失礼な!俺は弁護士ですから!」
「うるさいよ、オドロキ君…」
ぎゃあぎゃあと騒がしくなった応接間に顔を出したのは、成歩堂さんだった。
「あれ、みぬき?今日は遅番じゃなかったのかい?」
「…え?あ、あーっ!いっけない、スケジュール間違えてた!」
慌てて手帳を確認して、わたわたと支度を始めたみぬきちゃん。
「あと何分で仕事なの?」
「えっと…あと15分!ここからじゃ、走っても20分くらいかぁ…どうしよう、遅刻しちゃう!」
「僕のバイクで良ければお送りしますよ、お嬢さん。」
爽やかにニッコリ微笑む牙琉検事に、みぬきちゃんは一瞬[ぽやーん]としていた。
「…みぬき、遅れるよ。」
成歩堂さんが、みぬきちゃんの前で手をひらひらと振った。
「!ご、ごめんなさい!お願いします!」
「OK!それじゃオデコ君、成歩堂さん、お嬢さんは責任を持ってお送りします。」
まるで貴族の様にお辞儀してから、二人は事務所を後にした。
成歩堂さんと、二人きり…緊張するなぁ…と思ったら、
「ふわぁ〜あ…さて、僕も出掛けないと。」
「え?でも、今日はボルハチは定休日じゃ…?」
「いや…ちょっと野暮用でね。じゃ、留守番頼んだよ。」
そう言ってパーカーのポケットに両手を突っ込むと、成歩堂さんはのらりくらりと事務所から出て行った。
成歩堂さんがボルハチ以外に行く所は、あまり知らない。
それでも、野暮用と言って出掛けると2、3日くらい事務所に顔を出さないのはわかっていた。
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