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□十五代目Web拍手
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御剣は悩んでいた。
理由は勿論、先程のメモ書き。

[まるほどうを夢中にさせた方の勝ち
 (まるほどうには内緒で勝負する事)
 ボーヤが先制しても構わないが、
 必ず俺が側にいる時だ。
 俺が仕掛ける時はボーヤが側にいる時。
 お互い、まるほどうに見つからない様
 監視する事。]

「…ふ、下らん。」
コンコン。
「御剣、居るか?」
(っ!)
慌ててメモを引出に仕舞った。
「入りたまえ。」
「お邪魔しま〜す。」
入ってきた成歩堂は、親友で幼なじみ、ライバルの弁護士で…男性。
「僕に用って何?わざわざ神乃木さんを使い走りにしなくたって、直接連絡くれればよかったのに…しかし…弁護士なのに、随分あっさり執務室に通されるって…。」
「済まない…どうしても君と話したかったのだ。神乃木氏も、君に用があったらしくてな…君の事は『幼なじみ』として呼ぶと伝えてあったのだよ。」
「…ま、良いか。で、話って何?」
御剣は、意を決して成歩堂に近付いた。
「実は…君に聞いて欲しい事がある。」
「何だよ改まって…」

「成歩堂…私は、君が好きだ。もう…内に秘めた想いを黙っていられない。」

「な…!」
そっと抱きしめると、成歩堂は案外素直に腕の中に収まった。
「みつ…」
「成歩堂…私を、受け入れてはくれないだろうか…?」

(御剣勝利バージョン)
*御剣視点*

「僕…僕も、御剣の事…す…き…」
弱々しく呟きながらゆっくり私を抱き返す成歩堂の心地良い体温を、整髪剤か、ミントの様な爽やかな香りを感じた。
同時にドアの隙間から、微かに殺気めいた気配も感じた。
『見ているが良い、神乃木氏。成歩堂は私のだ…!』
頬に手を添えて、目線を合わせて問うた。
「それが本当なら…君にキスをしても、構わない、だろうか…?」
「えっ!?それは…その…あぅ…や…あの…でも…えっと…」
真っ赤になって恥ずかしがる姿が、あまりにも愛くるしい。

「…いい、よ…二人きり、だから…」

漸く、蚊の羽音位の声で頷きながら答えを出した。
「見つめ合ってするか?」
「い、いやいやいや!そ、それは流石に恥ずかしいから閉じて下サイ!」
照れ屋な成歩堂は、私の冗談にまで過敏に反応した。

「…龍一…」
「っ…!」

何時も心の中では、そう呼んでいた。
本当に大切な…決して穢してはいけない白い天使の様な、大切な愛おしい人…。
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