ぷよ小説
□仔シグネタ
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(…どうしよう…。)
まずい、非常にまずい事になってしまった。
事の発端は先生から出された宿題を気まぐれにこなしていたときのこと。教科書に載っている通り、綺麗にぷよを積んで消していく。
(まもの、褒めてくれるかな…)
自分が進んで勉強をしているなんて滅多に無いことだ。今の自分の姿を見たらきっと泣いて喜ぶことだろう。そんな魔物の様子が自然と思い浮かび、それが可笑しくてくすくすと笑っていたとき。
「……なに、これー…?」
ただ単に連鎖を組んでいるだけで、フィーバー状態になっているわけでもなしに正体不明の光が足元からどんどん溢れ出てきたのだ。それはシグがどんなに歩き、走り回っても止まることはなく、光はシグの身体を包み込んでいった…
その後、気を失ってしまっていたらしく床に突っ伏していたシグは重たい瞼を持ち上げのそりと起き上がる。
…と、同時に違和感を覚えた。
普段いつも使っている部屋なのにやけに広く感じる。しかも視野が低い。変なのはそれだけではない、袖がびろびろ、裾は長くなっていて…。そう、着ている服もぶかぶかで大きくなっていたのだ。
「ど、どうなってるの…?」
一体、自分の身体に何が起きているのか。混乱した頭ではまともに考える力も無く、慌てふためくばかり。助けを呼ぼうにも身体のサイズが合う服は無いし、今家には魔物もいない。タイミングも悪いし、運も無い…。不安の波が押し寄せてきてじわじわと瞳に涙が溜まっていくのが判る。ただ、勉強をしていただけなのに………
しかしいつまでも素っ裸でいる訳にもいかず、そこら辺に落ちていたバスタオルを身体に巻き付けていると、
「…シグ君、こんにちは〜。」
鍵を閉めている筈の窓から声が聞こえた。驚いて窓へ振り返るとそこには箒に跨がってこちらを見ているレムレスの姿があった。レムレスは窓の鍵を魔導を使って簡単に開くと今度は部屋に侵入してきた。
「レムレスっ。」
「…うわっと、どうしたのシグ君?今日の君は一段と積極的だね。嬉しいなぁ…。」
ふふふ、と笑うレムレスに気がつかなければいけない身の危険を感じることなくシグはその長い足に抱き着いた。自分よりも大きなレムレスの存在に安心したのか、鳴咽が口から漏れだし、悪いと思いながらも涙をぐしぐしズボンに擦りつける。
一方、レムレスはというといつもより幼いシグにうっとりと魅入ってしまっていた。今にも口の端から唾液が落ちてしまいそうだ。
「レムレス、白い…。」
涙を拭いた後、ズボンをよく見てみれば目に入ったのは馴染みのある深い緑ではなく白い生地。それにほんの少し、髪も長くなっているような…箒の先端には鎖が付いているし…。今日は変な事だらけだ。