ぷよ小説

□風邪ひき天使
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※病院パラレルです。大人クル、大人魔物、ちびシグを妄想して下さい。クルと魔物は双子設定です。









「…兄さん、今は勤務中だよ。たのむから患者さんのえり好みなんてしないでくれる…?」

「クルーク、何を言うっ。そんなことしていないぞ私は。」

「嘘だね。さっき看護士から聞いたんだから!ちゃんと仕事しろよっ。」

「むぐぅ…。」



まったく、この男色の兄ときたら…。仕事をサボって患者(男)を見定めているものだから怒りを通り越して呆れてしまう。


「だいたい、兄さんは内科だろっ!なんで小児科にいるのさ。おかしいじゃないか!」

「そ、それはだなっ…。小児科が人手不足だと言うので呼ばれたのだ。決して…やましい理由などではない!」

「やましい理由ってなんだよ。」



なに…この怪し過ぎる挙動不審な言動。絶対何かある、ろくでもないこと企んでるよ。

それ以前に子供嫌いな魔物が小児科にいる時点で不自然全快なんだけど…。


「…まぁ、確かに今日は内科の先生が多く入ってるし…。」

「い、居ても良いだろうっ?」


あぁ…。その期待に満ちた魔物の表情、僕すごく気に入らないんだよね。イラッとする。怪しいしやっぱり追い出そう。



「あ、やっぱりダメだね。そんな眉間に皺寄せて突っ立ってる怖い人がいたら子供が泣く。」

「なんだとうっ!?私はただ、この時間に通院している麗しい少年を見に来ているだけだ!」

「ついにゲロったなこの変態。ほら、お帰りはあっちのドアだよ。内科に直通してるから早く帰ってコーヒーでも飲んで寝てな。」

「お前はっ、兄が毎週楽しみにしていることを奪うつもりか!」

「患者の通院を心待ちにしている最低な医者なんていらないね!クビだよ、クビ!」



ああ〜、もうっ!頭の悪い兄に構っていたら診察の時間が来ちゃったよ。たぶん、兄の狙いは次に入ってくる患者さんだ。…しかたないな。追い出す暇もないし…


「…今回だけだからね。もし診察の邪魔したり、患者に変なことしたらこのメスで腹の中かっ捌くから。」

「!!」


…ふぅ、この人が同じ空間にいるだけで僕の血圧が上がるんだから本当に勘弁して欲しいよ。

部屋の端に立ったままの青ざめてる兄は放っておいて、患者のカルテを取り出して確認する。


「…なるほどねぇ…。」


一枚のカルテを手にしてチラリと兄に視線を向けるとビクンと反応し、ぎこちない笑みを浮かべる。

この子を狙う兄の気持ちが少しだけどわかる気がする…。男の僕から見てもカルテに貼り付けてある写真の男の子はかなり可愛いかった。

全体的に色素が薄く、それでいて愛らしいドーリーな顔付きだ。しかし、これが本当に同じ男だとは…。まぁ、そんなことは診察時にわかることだ。


…コン、コン…


「どうぞ。」


さぁ、いよいよ診察の時間だ。視界の端に兄が居るのが不快だけど…



「…おねがいします。」


診察室に入ってきたのは珍しい空色の髪をもつ少年、患者のシグだった。


「…か、可愛い…。」

そして小さな声ではあったけれど不覚にも口に出してしまった。写真と現物ではこうも違うものなのか。

因みに、クルークがシグと実際に会うのは今日が初めてである。


「ほら見ろ、とても可愛いらしいだろうっ!?」

「今すぐ黙らないと眼鏡叩き割るよ。」

「…せんせー?」

「あはは、ごめんね。…えっと、今日はどうしたのかな?」

「胸がくるしい…。あと、お薬がなくなった。」



そういえばさっきから苦しそうにコホコホと咳を繰り返している。もしかしたら風邪をこじらせたのかもしれない…。


「…それじゃあ、今から調べてみるから服を脱いでくれるかな?」

「うん。」


医者としては当たり前の診察なんだけど…なんだか、ドキドキする…。って、駄目だ駄目だ!この子、シグの性別は男であって僕の性別も男、そこに恋愛感情は絶対に生まれないっ!そんな不純な雑念を振り払って首に掛けてある聴診器を耳に当て、診察の準備をしていたら…
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