□私の彦星
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此処は帽子屋ファミリーの領土の一角。爽やかな夜風を浴びながらのお茶会の最中だ。
主催はこの領土を治めるマフィアのボス、ブラッド=デュプレ。
夜と紅茶を好む彼らしいお茶会である。

そんなお茶会に招かれたアリスは、頭上に広がる満天の星空を仰いだ。
季節のないはずのハートの国だが、空には一筋の星の川があった。
そう、まるで天の川のように。

「此処でこんなものが見れるなんて思ってなかったわ」

アリスは茶菓子のクッキーをつまみ上げながら笑った。

「…何のことだね??」

ブラッドがカップを置き、けだるそうに話しかけてきた。
見目はそんなに年齢を感じさせないのだが、このけだるい口調がブラッドの年齢を曖昧にさせる。
多分、あまり好奇心旺盛ではない彼の癖なのだろう。

「私のいた世界では、ああいう星たちを'天の川'って呼んだの」

けだるい口調だったので、本当に興味があったのかは定かではなかったが、アリスは七夕の話をした。

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