鋼
□晴れの日。
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それは数日前のこと…
“緊急事態なんだ。2日後の昼過ぎに中央を訪ねて欲しい。お前のところの部下も数人連れて来てもいい。発火布を忘れるなよ。”
新しい年になり、日常を取り戻しつつある頃に届いた突然の手紙。それは西にいる戦友であり親友である男からだった。
「緊急…??」
ロイに握られた手紙が音をたてる。
「大佐、どうかされました??」
「中尉、これなんだが…どう思う」
ホークアイは渡された紙に目を落とし、また顔を上げた。短い文章のため読むのに時間はかからない。
「中央のヒューズ中佐ですか。」
「ああ。この手紙、速達で来たようだ。…それ程急な用事らしいな。」
普段は軍の回線を使い、はた迷惑は電話をしてくる彼が‘手紙’を使うことからして普通ではなかった。
「…中尉とハボック少尉を連れて行こう。あまり大人数でも動きにくいだろうしな。」
「了解しました。少尉には私から伝えておきます。」
「ああ。頼む。」
ロイは部屋を後にするホークアイを確認してから、一つ息を吐いた。