□曖昧なひとたち
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僕が3杯目のホットコーヒーを飲み終える頃には、君の地元の話も終盤戦。軽快なリズムで進む話に合わせて相槌をうつ。そして頭の端で、「次は何処へ出掛けようか。でも寒いのは勘弁だ。」と考えていたらまた怒られた。


そうして店を出て二人でぷらぷらと駅前の通りを歩く。いつの間にか二人で手を繋いでいるのもいつものことで、それに気付いたときには少し胸が高鳴るものだ。しかし実際、彼女は僕の「彼女」ではない。彼女とは昔から仲は良かったけれど、付き合いましょうなんて言った覚えも言われた覚えもないのである。まあ自然消滅があれば反対もある!…と信じてる。そんな約束も誓いも存在しない曖昧な関係。だが同時に、相手にサプライズしようなんて気を遣うこともない訳で、とても心地よい関係でもある。




他人と比べるとおかしな関係だけど、さ。「あいまい」という文字には「あい」という文字も含まれるから。ゆっくり進んで行きましょう。



今はまだまだ寒いけれど、草花とともに春を待とう。きっと少しずつ愛が芽生えてくるはずだから。




fin...
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