novel2
□貴方に捧げる賛美歌
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「白石?」
「それに……俺が勝って、一等賞とらな…約束破ってまうやん?」
「……!!」
─オサムにぃ!おれにテニス教えてっ!!
─あんな、オサムにぃ…
『おれが勝って…オサムにぃをホンマのいっとうしょうにさせたるっ!』
…季節は移り変わる。
それでも、変わらないものが確かにあった。
「………オサムちゃ…ってうわっ!」
「あぁもう…っ!!可愛えなぁコイツぅ!」
「ちょっ…!髪グシャグシャになるやろ!!」
止めろ!と真っ赤になって照れる我が愛しの甥っ子。
本当はもう十分満たされているんだ。
コイツがいて、千歳がいて、金太郎がいて、謙也がいて、財前がいて、小春とユウジがいて、師範がいて、小石川がいて…テニス部の部員がいて。
忙しない奴等で一生懸命な奴等で、凄く可愛え奴等だ。
ぶーぶー文句を垂れる白石の頭から手を退かしてやると、さいっこうに眉間にシワを寄せて乱れた髪を直していた。
でもちょっと嬉しそうに見える。
頭撫でられるの好きやったもんなぁ。
そう思い出して思わず笑いが溢れた。
それに過剰なまでに反応した白石は毛を逆立てた猫みたいに威嚇する。
でも真っ赤な顔じゃ全然怖ないで?
うん。
俺って幸せ者やなぁ。
「…チッ。まぁいいわ…」
「ふふふふふ…」
うん。
舌打ちとかも今の俺にはあんま効かへんよ。
幸せやからな!
「(イラッ)…今年はっ、千歳も!皆もおるからな!」
「…………」
うん。
………やっぱ。複雑。
はーい、次の問題ー。
…じゃ、千歳ぇ!答え言ってみぃー。
オサムちゃん?!今日俺にしか当ててなかよ?!!
うっさいでー。
嫁の親族からの愛を受け取れへんのかアホー。
いやいやばってんこの問題大学入試レベルばい!
そっかー。
せやったらその下の問題な?
こっちは東大入試レベルばい?!!
END!
→おまけ
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