text〜古キョン

□光と闇【完結】
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歩道橋から見下ろす景色は、真っ暗の中にぼんやりと街頭が灯るのみで、夜中に高校生が出歩くには少々危険を生じた。
そりゃそうだろ?
古泉はともかく、俺はどう見ても高校生だ。
補導される確立はかなり高い。
それでも、こうして付き合っているのは…
訪ねてきた古泉の表情に、何か闇を感じたからだ。

折角二人っきりで居ると言うのに、古泉は機関の現状を話し始めた。

―― 同盟と裏切り 妨害とだまし討ち 破壊と殺戮 ――

そんな事を俺に話したところで、何か出来るわけではない。
古泉は口が滑った、と俺に言った。
この時聞いた内容は理解し難いものばかりで、一体お前は何を言いにきたんだ?と疑問文を投げかけざるをえない状況で、頭を下げて去っていった。

いつもなら別れ際にそっと手を握るという儀式のようなものが今日は無くて、古泉が今それほど大変な状況下にあるんだと理解した。

俺に出来る事ってなんだ?
恋人の力になりたいって思うのは普通だろ?
俺は凡人だ。
特殊な力で何かしてやることなんて不可能だ。
ならどうしたらいい?
答えは一つだった。
古泉があの歩道橋で「お願いします」と言った言葉が蘇る。
あれは、お前からのSOSなんだよな。

ハルヒのパワーを抑え、至って普通な現状を維持する。
鳩の羽が白になったり、季節はずれの桜が咲いたりしなきゃいいんだよな?
そして…
閉鎖空間が発生しないよう、ハルヒの機嫌を伺いながら映画撮影をあくまでフィクションであると強調して終わらせればいいんだろ?
やってやろうじゃないか!

お前の力になれる事がこんなに嬉しいだなんて…
バカだな。
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