text〜古キョン

□feeling【完結】
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「終わらせたくないんだ」
「は?急に何よ」
「この夏休みを終わらせたくないと言ってるんだ」
「去年はあたしもそんな事考えたわ。いっぱいいろんな事したかったから。今年はあんたもやりたい事ができたわけ?」
「やりたい事じゃなくてだな…忘れたくないんだ」
「何を?」
「俺に対する気持ちを」
「意味わかんない」

彼は、涼宮さんの耳に少しでも入れておけば
夏休みが続くと思ったのでしょう。
去年を踏まえての行動ですね。
しかし…エンドレスサマーはすでに始まっている。
やはり、涼宮さんは今年も夏休みをどこか終わらせたくないと思っているのでしょうか。

*  *  *

僕の視界を全て支配する神に選ばれし鍵となる存在。
彼の気持ちが…知りたい。

「ずっと続けば良いのにな」
僕にも同じ願いを告げる。

「どうされたんですか?」
僕はわざと聞きかえす。

「お前はとっくに気付いてたんだろ?」
僕のシャツをギュッと掴んで、少し辛そうな顔をする。

「何の事でしょう」
彼の気持ちを知りたくて惚けてみる。

「お前、どうせ今の出来事はリセットされるとわかっていて、俺に気持ちをぶつけてくるんだろ?」
やはり彼も気づいていた。

「僕は罪を犯したも同然です」
彼は不思議そうに僕を見る。

「鍵であるあなたに手を出してしまった…」

僕は思っていた。
たとえ罪を犯す事になったとしても、彼を手に入れたかった。

「俺は…お前がくれた気持ちを忘れたくない。お前は、俺の気持ちを簡単に忘れちまっても良いのか?」

頭がクラクラする。
目の前の愛しい彼は、ずっと好きで居ても良いと許可をくれる。
あぁ、世界の崩壊を防ぐために存在する僕は、自らの手で世界を崩壊に導こうとしている。
ごめんなさい。
僕は…

「なぁ、古泉。一緒に脱出しようぜ」

彼は僕に抱きついて、背中に回す手にキュッと力を入れた。
神様…いえ、涼宮さん。
ごめんなさい。
僕は彼にそっとキスをすると、自分の中に閉じ込めるように抱きしめた。
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