text〜シズイザ

□シズちゃんなんて大嫌い
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シャリシャリ…
目の前で大嫌いな彼が練乳たっぷりのかき氷を口に入れてシャリシャリと音を立てる。
似合わない。
なんて不釣り合いなんだ。
池袋最強の男とかき氷。
しかも!
いちごを選択するだなんて。

「何だよ…?」

俺の視線が気になったのか、目の前の彼がブルーのレンズ越しからこちらを見る。

「シズちゃんさぁ、なんでいちごなわけ?」
「そりゃお前、決まってんだろ。かき氷はいちごだって」

いやいや、決まってないから。
他のかき氷達に失礼だろ。
それに、目の前で青色のかき氷を食べてる俺にも失礼だ。

「臨也、舌が妖怪みてーになってるぞ」
「!」

ホント、シズちゃん嫌い。
嫌い嫌い大嫌い。

「シズちゃんだって、舌真っ赤じゃん」
「妖怪よりマシだろ」

あぁ、マジ死んでほしい。

「何だ臨也。お前、赤い舌が羨ましいのか?」
「全然羨ましくない!いちご味なんて絶対食べない」
「あぁ、わかったわかった」

フワフワだった白い部分が赤いシロップに浸ったかき氷を横へと避けて、彼がトンとテーブルに手をつく。

「な…に?」

今から何が起こるのかわからなくて聞いてみたのに、彼から言葉が発される事はなくて。
胸ぐらを掴まれて殴られると思った瞬間、唇を奪われていた。

「!」

驚いて一度唇を話すと「真っ赤な舌にしてやる」と彼は深く深く口づける。

「…っ……んっ」

あぁ、シズちゃん強引すぎる。
そんな所が大嫌い。

「臨也、大丈夫か?顔まで赤いぞ」
「もぅ、知らないってば」

嫌い嫌い、大嫌い。

見掛けに寄らず甘党な所とか、勘が鋭い所とか…俺に急に優しくしたりだとか。
全てが嫌いなのに。

好きで好きでたまらない。

続けられる深い口づけに答える様に彼の首へと手を回し、髪に触れる。

「……臨也」

離れた唇が俺の名を紡ぐ。
そして、息をたっぷり含んで彼が耳元で囁く。

「………好きだ」

二人の時にしか聞けない甘い声。
二人の時にしか見せない優しい顔。

あぁ、嫌いな筈なのに。
彼の甘い囁きに答えてしまう自分が一番嫌い。

「シズちゃん…嫌い」
「天の邪鬼」

この世で一番大嫌いで…





大好き。


★END★



甘々シズイザを未来路は応援しています☆
 

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