text sample〜古キョン

□それは、甘い甘い日々
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「何をお考えですか?良かったら僕に話してください。何だか、一人取り残されたみたいで寂しいです」
「そうかい」
 
古泉とそういう関係になって気付いた事がある。
こいつはかなりの甘えたなのだ。
図体のデカイこいつには不釣合いな事この上ないな。

「あなたは、何が欲しいですか?」
「何だ?いきなり。主語を言え主語を」

スルリと手が伸びてきて俺の首に回される。
至近距離に顔が近付いて、あ…キスされる。

「ん…」

俺の唇を味わうように何度も何度も離れてはくっつき幾度か行われた後、生暖かい舌が侵入を開始する。
こうなったらもう全身の力が抜けてされるがままで。
しばらくして古泉は俺から離れると、満足気ににっこりと笑って俺をギュッと抱きしめた。
こいつは俺の事をよく把握している。
普段の俺だったら素直に抱きしめられたりしない。
ただ、キスの後の弛緩しきった俺が抵抗しない事を十分理解した上でしてくるのだから、どうしようもない。

「ホワイトデーの事ですよ。お返しは何がいいですか?」

最大限に唇を耳に寄せて、少し低めの声で囁くように言うこいつの質問が頭の中にダイレクトで送り込まれる。
確信犯だろ、お前。
俺がこの声に弱いのを知っててやってくるんだからな。

「な…なにもいら…ん」
「何も?」

じゃあ、僕がいろいろと考えておきましょう。
とか楽しげに言いながら更に力を込めて俺を抱きしめる。

「ちょっ…」
「どうされましたか?」

どうされましたか?じゃねぇ!
してるのはお前だよ、お前。

「いきなり…おまえ…っ…」
「おや、すみません。しかし…」

そう、歯切れ悪く言った古泉は器用に俺のズボンに手を入れて秘部の入り口をクニクニ触り始めた。
余裕を垣間見せる指の動きに翻弄されていると突然ガクッと膝の力が抜けて、古泉にしがみつく形となる。

「大丈夫ですか?」
「大丈夫…じゃねーよ」

俺の返事も虚しく秘部の辺りをうろうろしている指は、遠慮なくプツリと侵入した。

「ひっ…」

古泉にしがみつく腕の力だけで立っている状態で膝はガクガクと震えて、いっそ座り込んだ方が楽なんじゃなかろうかとさえ思えたが、そうはさせないと目の前の男はガッチリ俺を支える。

「…もぅ……むり………」

そう懇願するように古泉を見上げたら、見慣れた笑顔がそこにはあって、ギュッと胸元に顔を埋めたら、それはそれは良い声で「ベッドに行きましょうか?」と囁かれた。
 

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