詩
□③
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名前を教えて
『…おはよう』
「あぁ、また君ですか」
おはようございます、と…
私の挨拶に、貴方は気だるそうに答えた…
いつも、日課のように…
私は貴方に会いにいく…
いつも、同じ場所で空を見上げて…
ボーッとしている貴方に…
私はいつから惹かれたのか…
『ねぇ、何してるの？』
「空を…雲を見てるんですよ」
私を見ることなく…
貴方は答える…
その視線はずっと空の彼方へ向けられて…
仕方無く、私も空を見上げた…
『楽しい、の？』
「はい、時の流れを感じられます」
私の疑問に…
貴方はようやく私を視界に入れて笑った…
ドキリと高鳴る鼓動に…
熱が集まる頬を冷ますように…
私はまた空に視線を移した…
『ね、もう一つだけいいかな？』
「えぇ、何ですか？」
私の問いに…
快く了承してくれる貴方を…
また見ながら…
『名前、教えてくれませんか？』
そう言えば…
貴方は驚いたように目を見開きながらも…
ふわりと、笑ってみせた…
「じゃあ、君の名も教えて下さいね」
ふわふわ青空、空の下…
小さな恋に…
かすかな発展…
(この二人の時間が、幸せなんだと
私が貴方に伝えたら、また笑ってくれた)