□B
2ページ/11ページ


腐りゆく林檎を見つめる私




じわりじわりと…

内から腐って行く…

微睡む意識の中で…

私は其を感じていた…


ぐじゃぐじゃと…

内が奇妙な音を立てる…

口から零れ落ちる赤い血が…

うざったくて、不愉快だった…

まだ意識があるのが…

恨めしい程に…


べちゃべちゃと…

内から外へと…

腐蝕は進行していく…

真っ赤な血は…

宝石のように輝き…

果物のように魅力的で…

醜い私から…

綺麗なモノが流れていく…

私は無意味なモノから…

不必要なモノに成り下がる…


どろどろと…

腐る、腐る、私が朽ちる…

痛みはない、哀しみもない…

不愉快な腐蝕を感じながら…

其をただ他人事見たいに思いながら…

その感触に嫌気がさしていた…

ジッと、自分を客観的に見つめながら…

腐る身体に冷たい視線を送り…

無関心な表情を向け…

私は腐り続ける…


自然の摂理に逆らえない…

全て腐って地に還るんだ…

ほら、馴染んできた…

溶けていく身体を見つめ…

骨が浮き出た腕や脚に…

さよなら、を告げて…

私は静かに目を閉じた…



(腐るよ私が、不愉快に
 自然に溶けて、私が無くなる)
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ