□B
2ページ/20ページ


雪みたいに死ねたなら




真っ白な雪…

儚い色、姿…

柔らかく、冷たい…

優しく、穢れ無い…

そんな風に…

私は死にたいと願う…


病室で、毎日を過ごした…

窓の景色だけが…

私の世界全体だった…

小さく見えた白…

空から降る不思議な白に…

とても惹かれた…

心を奪われた…


何も出来ない私…

何の役にも立たず…

ただ一日を過ごして…

誰にも会わず、何も食べず…

親にすら会話をした事が…

数える程しかなくて…

そんな自分が嫌だった…

生きていたくなくて…

だからと言って…

死ぬ事も、漠然として良く分からなくて…

何も興味を示さなかった…

そんな私が初めて…

空からの白、雪に…

感動して、涙した…


なんて綺麗なんだと…

あんな風に…

私は生きたいと願った…

小さな願い…

その願いすら、私は叶えられない…

だから逆を願うの…

死を願う、ただ願う…

あの真っ白な雪のように…

綺麗なまま…

誰にも知られないまま…

静かに死んで…

消えるように…

この世界と一体になって…

私は命を終えたい…

何も許されなかった…

私の最初で最期の願い…



(どうせ私は、邪魔な存在なだけだから)
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ