新詩
□喪失
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夢を見た
内容は深く覚えていない
ただ確かなのは
胸が苦しくて
勝手に涙が溢れただけ
消えてしまった
大切な何かを失ったような
胸の喪失感
ぽっかり空いた穴
そこには確かに
何かがあったのに
掴めていたはずの何か
いつの間にか
指の間から滑り落ちて
粉々に砕けた
朝日が眩しくて
いつのも朝が悲しくて
窓の外の景色は変わらないのに
何かが変わった気がした
ありふれた日常で
何かを失ったからなのか
消えた何かは
もう、戻らない
胸が痛くて、苦しくて
叫べば楽かな、なんて
ベッドの中で苦笑した
何を忘れた?
いつの間にか当たり前になった
機械的な日々で
何を失ったんだろう
こんなにも
大切だったはずなのに
何故分からないんだろう
確かに在ったんだ
喪失感は間違いなく
この胸を締め付ける
どうしようもなく
寂しいと思った
涙が流れて、落ちる
心が叫ぶ、痛いと
それでも
時間は止まらないから
無くした何かを
悲しむ余裕などなく
きっといつかまた忘れる
この痛みさえ
時の流れは早過ぎて
大切な何かを奪って行く
それでも生きる
それが
どれほど残酷でも――――