新詩

□運命
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誰かがいった

「運命なのだ」と

その意味が理解出来ずに

ただ首を傾げていた


誰かがいった

「天の意志だ」と

その理由が分からずに

ただ眉を寄せていた


誰かがいった

「御仏の導きだ」と

言葉の意味を咀嚼しても分からず

興味をなくしていた


なにかあると

人はそれを誰かのせいにする

運命だとか、意志だとか

導かれた結果なのだとか

決められていたのだと

何故か、諦めたように呟く


だけど、嫌なのだ

その言葉が嫌いでしかたない

決められていたなら

何故、人は足掻くのだろう

決められていたなら

何故、人は試行錯誤を繰り返すのだろう

何もしなくても、運命ならば

そうなるべくしてなるのではないのか?


頑張る意味がない

考える必要もない

そうなってしまう気がして

怖いのだ、自分の存在が

無価値だと感じてしまうから


逆らっても無駄なら

足掻いても無意味なら

感情など、不必要だろう?


こんな疑問さえも

運命の前には取るに足らぬもの

ならば死のう

運命から逃げるには

こんな方法しか思い付かない

それさえも決められていたなら

それもまた

馬鹿げた行動だっただけ


だけど、運命なんて

きっと誰にも分からないだろう――――





 

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