新詩

□私の世界
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私の世界は真っ白で

私自身は透明で

行き交う人は色付いていた

なにもかもが

つまらない世の中で

五月蝿いほどに自己主張する

色と色とがせめぎあう

五月蝿いと

誰も気付きはしない


色がぶつかり合い

飛び散り、白を汚していく

静かに揺れていた白の世界は

五月蝿い色が塗り潰す

私はそれを見る

泣きながら、叫びながら

透明な涙を流し、騒音に立ち向かう

それでも私は透明で

五月蝿い色には無価値な存在だった


色が混ざり

世界はいつの間にか真っ黒になった

たくさんの色は

一つになって世界を黒く塗り潰した

それでも

色は自己主張を続ける

世界を壊していることに気付かず

己の欲望のために

騒ぎ続けるのだ

私が泣いた後だけが

異物のように白い斑点を作り出す


こんなにも世界は静かなのに

誰一人として

その静かな色を見ることはない

それが悲しくて

私はまた泣いたんだ――――





 

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