新しい風(改)

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そしたらどうだ、体にはなんの痛みも感じなかった。


可笑しい


そう感じた私はパッと目を開いた。
するとどういう事でしょう。トラックは私の横をすり抜けていったのだ。
…やっぱり可笑しい、アレは確実に当たった筈なのに。そう考えていた私の思考を妨げるかのように、「危ないだろうが!気を付けろ!」とトラックの運転手…恐らくオッサンが私に叫んだ。いや、元を正せばアンタも悪い。とは思いつつも後が怖いから素直に謝っておいた。触らぬ神に祟りなし。するとオッサンは大人しく帰ってくれた。あんな大人にはなりたくないものである。

まぁ流石に道端に居続けるのも悪いからと、また歩きだそうと鞄を背負い直した時。私は鞄に違和感を覚えた。なんかこう…スベスベしてる。…何故だ、私の鞄はの持ち手はザラザラだった筈。
この感触に嫌な予感を覚えた私は、恐る恐る鞄を下ろした。するとどうだろう、そこにあるべき中学校指定の鞄が無く、変わりにオーソドックスなランドセルがあった。


そりゃ見た時無言になるよね。


あまりの出来事に私の思考は止まり、声にならない叫びをあげた。
その混乱状態のまま、私はもう片方の肩に掛けていた鞄を下ろした。幸運な事に、片方の鞄…基テニスバッグはそのままだった。これには本気で安堵した。これも変わってたらどうしようかと思った。

そして少し落ち着いた思考で取り敢えず家に帰ろうと考え、鞄を背負い直して前を向いたその時。暗かった筈の空が明るかった。言うなら3時4時ぐらいの明るさ。これには本当に驚いた。あまりの驚きに一周して冷静になったぐらいには驚いた。
その冷静さのままテニスバッグに付けていた時計を見ると、そこには「15:46」と書かれていた。



 
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