新しい風(改)

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いきなりで悪いが、私、綱倖霞は少し変わった人間であると自覚している。


これだけ聞けば「コイツ頭大丈夫か?」と心配されるか馬鹿にされるかの二択だと思う。
だが私はそれは正しい判断だと思う。何故なら私も、いざ自分の前にこんな奴が現れたら前者の対応をするからだ。


しかし、しかしだ。私の今に至るまでの境遇を聞いて頂けたら、何故私が冒頭の言葉を言ったのかお分かり頂ける筈だ。

なので少しお付き合い願いたい。



…そう、確かあれは私が中学3年生の頃。あの時の私は珍しく1人で下校していた。まぁそれは部活で居残ってギリギリまで練習していた所為もあるのだが、いつも一緒に帰っていた友達が珍しく風邪を引いたのも理由の一つだと思う。
別にその子以外に友達がいない訳ではない。ただ、帰る方向が一緒なのが彼女だけだから、必然的にいつも一緒に帰ってる。

そして辺りが徐々に暗くなってる時に私は1人、帰り道を歩いていた。その日は確か…期末テストの日だったかな、だからその日のテストの見直しを行いながら帰っていた。
私が所属している部活は、テストの点が悪いと最長半月部活に出させて貰えない。正しくは勉強と筋トレしかさせてくれない。その為皆必死に勉強している。無論私を含めて、である。


そんなことをしていたのが悪かったのか、気付けばトラックが私に突っ込んできていた。何故気付くのが遅かったのかと言うと、テストの見直しで注意力は散漫しており、トラックの方はブレーキを踏まず、クラクションも鳴らさずだったからだ。

だから気付けばトラックは私の横数m近くまで迫っていた。その時私は冷静に「あ、死んだ」と思った。味気ないが本当に思った。


そして当たる瞬間、目を瞑った。



 
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