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□14恥ずかしいから許して
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「んー…っと…ここ、トレーニング室、でしたよねぇ?」
この屋敷はわからない。
住み始めてからしばらく経つけど、いつまでたっても目の前に続く道がどこに続いているのかわからないままだ。
見回して見回して、扉を試しに開けてみて怒られて、追い出されて。
それでもやっぱりわからないから首を傾げるしかないんだ。
で、一伸びして扉の前。
周りの壁と、他の扉と色が違う唯一の扉。
確かトレーニング室だった気がする。
…自信はないけど。
「えっとぉ…おじゃましますぅ…?」
重い防音扉。
やっぱりトレーニング室?
扉から頭だけ出して、きょろきょろ。
すると、見える青い髪。
あれは誰だっけ?
「ヨッシー…?何をして…、いッ…!」
え?
「あのぅ、る、かりおさん?ですよね?
足、おケガされてるんですか?」
びく、と一瞬肩を震わせてから、目を逸らされた。
その目にはありありと苦痛の色が浮かんでいて、うっすらと涙が滲んでさえいる。
ぺたん、と女の子がするような座り方で、気にするのは右足首。
捻ったのかな?
「んー…腫れてはいないですね」
「っ、大丈夫だ…。
だから、放っておいて…」
「だーめですよぉ!
医務室、是が非でも連れて行きますからっ!」
「断る…っ!」
「よいしょぉ!」
「うぁっ!?」
…つい担いでしまった。
まぁ良いか!
ばたばたと肩の上でルカリオさんが暴れるのは気にしない。
むしろ気になりません。
わたし、乱暴に扱われるの慣れてますから!
(「…下ろしてくれないか?」)
(「だが断る、ですぅ!」)
(「…あぁもう、恥ずかしい…。」)
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