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□8擬人化
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楽しそうにはしゃぐ子どもたち。
穏やかに談笑していたり、料理を手伝っていたり。
その姿は、まさに「人間」そのものなのだけど。
やはり、気になることもある。
「ねぇアイク。」
「何だ?」
いつも片手で振り回している、重そうな両手剣を磨く手を止めて、彼は僕を見上げた。
その表情の読みにくい目は、今何を考えているのかも、やっぱりわからない。
「…彼等は、今の姿をどう思っているんだろうか。」
「…彼、ら?」
「そう。
だって、彼等、元の世界では人の姿ではなかったんだろう?」
首を傾げ。
それから、少し俯いて。
また顔を上げた彼と、目が合った。
「…あいつらが、ヒトを嫌いでないのなら…そこそこ、気に入ってるんじゃないか?
…只の想像だし、何の根拠もないが。」
ぶつかった視線がずれ、僕の後ろを辿る。
それから、何事もなかったかのように視線を自らの剣に落とした。
「そういうものなのかな。」
「…わからない。」
「そっか。」
もう一度、彼等に目を移し。
やはり僕も、何事もなかったかのように、視線を戻した。
(ぶつかった視線が、その目が)
(少し悲しげだったのに、気付かないふりをした)
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