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□三重奏-Trio-
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「なぁ、ツナ」

「ん?」

「ツナはさ、要領いいのに貧乏クジ引くタイプだよなー」

「…え?何急に。どういう意味なの山本」

「んー…。わかんね」

「………えぇー、何ソレ」




だってそうだろ?

あいつはツナが何したって文句は言わないはずだ。

でもツナは何もしない。
あいつが困るようなことは、何も。

そこがツナのいいところだけど、焦れったい。
もう少し欲張ってもいいのに。


……まぁ、ソレだとオレが困るけど。





多分、今のオレたちの状況を一番わかってるのは、オレだと思う。


オレは親友のはずのツナが好きで、そのツナは獄寺が好き。
そして多分獄寺は、オレのことが好き。

どうして,いつからこんな複雑なことになったかはわからない。

ただ、気付いたらツナのことがどうしようもなく好きになってて、気付いたらツナは獄寺を見てて。

じゃあその獄寺はというと、オレが好きらしい。

てっきりツナのことしか見えてないと思っていたのに。

尊敬と恋愛は必ずしも一致はしないらしい。


大体、二人とも自分に向けられる好意に鈍感過ぎる。

好きな相手が誰が好きかは気付いているくせに。


どうして。


でも、言ってやらない。
絶対に。

ツナがオレのこと親友としか思ってないのは知っている。

でも、だからと言って、簡単に諦められるほど、大人じゃないし、そんな簡単なキモチでもない。



あいつらが、気付くまで、オレはこの溺れそうな深い海のような思い続けよう。


その時はきっと、みんな一緒に堕ちるだろうけど、





だけど、だから、オレは、







「なぁ、ツナ。今度さ、一緒に遊園地行かねぇ?獄寺誘って、三人でさ」










蜘蛛の糸に絡められた僕らは、









(ただ堕ちていく。



メビウスの環を辿りながら、



精一杯、もがきながら)








090410
……何だコレ
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