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□たからばこ
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ふと目が覚めて、大きく伸びをした。


気分がとても良かったので、久しぶりに例の物を折り重なる布団の間からそっと取り出す。

それは、お世辞にも綺麗とは言い切れない古びた箱だった。中の物をそっと取り出しては、また戻すという作業を繰り返す。



それはとても大切な宝物。
今日もきっと、とても騒がしい、けれどとても楽しい1日だろう。


再び箱を元の場所に戻して、二度目の伸びをした。



「………銀ちゃん?」


いざ寝床という名の押し入れから出ると、もう太陽は完全に上りきった時間帯であった。



「新八――?……はいなかったアルな」

今日はお通ちゃんのライブがあると昨日から張り切っていたのを思い出した。


「銀ちゃん―?どこアルか?おーい!…………天パー」

ここ万事屋の一応主人である銀時がいない。

くぅん、と定春が鳴いた。

「定春………」

思わずその白い毛並みに顔をうずめた。

「銀ちゃん、いないアルか………?」


(せっかく今日は、良い日アル…はずなのに……)


「あんのどら息子!プータロー!!この神楽様が見つけだしてお説教アルよ!!」


こうして、神楽の銀時探しが始まった。



「まずは……姉御のとこアル」

妙のところに銀時が行く理由すら考えずに、神楽はそう思った。

「銀さん?さあ、来てないわねぇ」

「そう……アルか」


元気のない神楽に、妙は気付かれないように微笑んだ。


「そうね…あの銀さんのことだから、長谷川さんとパチンコでもしてるんじゃないかしら。あの天パーのことだから」

「なんで二回も言うアルか?―――そうアルね。マダオ探してみるアル!」

「ふふ、いってらっしゃい。がんばって」

「姉御!ありがとうアル!!」


大きく手を振って、神楽は妙と別れた。


公園で見つけたマダオは、寂しくも独りだった。

「銀さん?いやー今日は見てないねぇ。そういや、今日は実りのいい短時間の仕事があるとか言ってたな」

「仕事………」

「ああ、どんな仕事か聞いちゃいねぇが、昼には終わるって言ってたぞ。案外もう万事屋に帰ってたりして」

「……わかったアル。一回帰ってみるアル」

「おう、気ぃつけてな、嬢ちゃん」


そして再び帰るも、そこに銀時の姿はなかった。


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