ホミン王国
□始まり。
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婚儀の衣装を身に纏い、教会の入り口に俺は立っていた。
目の前の大階段には近衛兵が整然と並んでいる。
そしてその向こうには、大勢の平民達が祝福の為に歓喜の言葉を発していた。
俺とこの国の王妃となる花嫁を人目見ようと国中の者達が集まっている。
そんな中、豪奢な馬車が大階段の下で止まる。
馬車の扉が開き、お付きの者に手を引かれ…純白のドレスを身に纏った女性が降り立った。
その顔にはレースのベールが掛かっている。
細身の長身の女性。
ある程度の容姿ではあって欲しいものだが…。
軽く息を吐き、目の前までしずしずと歩んできた初めて会う伴侶の手を取る。
お付きの者から手を受け取った瞬間、
風が…吹いた。
その風で花嫁の顔を覆うベールが舞い、素顔がのぞく。
ーーーその瞬間。
俺は息を飲んだ。
なんて、美しい…。
目鼻立ちのはっきりとした芯の強そうな瞳。
たたずまいから感じ取れる、凛とした美しさ…。
一目見た瞬間から…
俺は彼女から目が離せなくなってしまった…。