□ささやかな攻防
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月曜日と火曜日の俺の朝は早い。何故かというと、その日は食事当番だからだ。本当はリンもなんだけど、リンは朝弱いから夕食担当。もちろん、お互い手伝ったりはするけれど。

いつもはしばらくリンの寝顔を眺めた後1人で部屋を出るんだけど、今日は約束してたから起こさなきゃな。こんなによく寝てんのに、申し訳ないけどね。


「リン、朝だよ。起きろー」
「……ん」
「リーン、起きなって」
「…………みゃー、……にゃ。もうちょっと………」
「…………」


あー可愛すぎますよリンさん。本当可愛い。ごそごそ布団の中に潜る仕草とか、ぬくもりを求めて俺の方にすりよってくる動作とか。極め付きに、「みゃー」って猫ですかちくしょー可愛いな!


「なあリンー、一緒にオムライス作るって言っただろ。俺1人で作っちゃうよ」
「……や………、待って………」


寝かせといてやりたくもなるけど、寝呆けたリンが可愛いからこのささやかな攻防が楽しい。

「んー……ねむい」
「じゃ寝てる?」
「や」


あ、だいぶ覚醒してきたっぽい。小さな手が繰り返し目をこする。


「起きた?」
「まだー……」
「早く目ぇ覚ませよなー」
「うーん……じゃあね、」

その次にリンが言った言葉は俺の度胆を抜くのに十分だった。












「キス……してくれたら起きる」















「はぁ。…………………………………………………………はあ!?」


え、こいつ何言ってんデスカ。
ふにゃりと寝起き特有のあどけない顔で笑うリンは文句なしに可愛い。や、ここまで可愛いと文句の一つも出てくるんだけど。勘弁してくださいよリンさん。

ていうか、それはフツー男のセリフだろ!


「むー、知らないの? お伽話では、眠り姫は王子さまのキスで目が覚めるんだからぁ……」
「いやそれは知ってるけど」


でもこういう場面でねだるのは男の方が多い気がするようなしないような。


「はーやーくー。………も、寝ちゃいそう……」


本気でリンの目蓋が下がってきていたので、俺は仕方ないと覚悟を決めて、リンの柔らかな髪をかきわけると額にキスを落とした。


「ほら、起きろよ」


たったこれだけで、情けないことにすごくドキドキしている。さっきまで少し眠かったけど吹っ飛んでしまった。


「ん」


リンがぱちりと目を開いて俺に手を差し伸べた。俺はその手を掴んで引っ張り起こした。


「ほっぺが良かったなー」
「……ばか。ほら、着替えてこいよ」
「はーい」


最近新しい部屋を貰えて、リンと俺は別の部屋。思春期だから、というのが理由らしいけど、リンの感覚的には「二人の部屋」が増えたくらいにしか思ってないんだろうな。どっちかの部屋に入り浸りだし、こうやって、寝るのも一緒だし。さすがに着替えとかは俺が必死に頼み込んで別にしたけど。


「あ、そうだ」


俺も着替えるか、とクローゼットに行こうとしたところで、再びドアが開いてリンが顔をのぞかせた。


「何?」
「おはよ、レン。まだ言ってなかったと思って」


……ああ本当にもう、リンは。


「おはよう、リン」



――きっと今日も良い日だね。































































20090605



レン、可愛い言いすぎ。でも仕方ないよね!リン可愛いから!←
本当は、着替え中のレンの部屋にリンが乱入してきゃー!となるつもりでしたけど長いし終わらなくなるので却下。

ちなみにあの後二人はちょっと朝食が遅れて、二日酔いメイコさんに文句を言われました。

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