07-GHOST

□真剣に言い訳してみる
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*A+H+K











執務室でのいつもの光景。


「嫌、仕事なんてしたくない」


「何言ってるんですか、あなたって人は。毎日毎日馬鹿みたいに同じこといって」


「だってやってもやっても終わらないんだよ!こんなの意味ないって。見てよ、このすっごい量!!」


「だからってあなたは――」



駄々をこねるヒュウガとその保護者的な存在であるコナツ。

上司が仕事をしないため毎夜毎夜残業に身を投げうつコナツは所属する前よりも確実に痩せている。


――ちなみに上司は仕事ができないという訳ではない。

むしろアヤナミに次ぐ頭脳を持っているはずの彼は、恐らく仕事を難なくこなせる実力はあるはずで……。

しかし、なぜしないのかと言えば、それはつまりコナツないし他人ができる仕事をわざわざ自分がする必要はないと考えているからに違いなかった。



そんなヒュウガの心情に何となく気づいていたアヤナミは、相も変わらず毎日同じやりとりを繰り返す2人に対して、ついに革命を起こす。





「――ヒュウガ」


「なになに、アヤたん」


「これをやれ」


「え、なにこれ。一枚だけだけど、書類?」


「貴様には毎日"一枚だけ"仕事をしてもらう」


「えー、ホント!?やったぁ!だったら俺頑張っちゃうよ〜♪アヤたん大好
――って、ぅえ!!?




ひょぃひょいっとアヤナミに呼ばれて嬉しそうに尻尾を振りながらアヤナミの元へ駆け寄ったヒュウガは予想打にしなかった事態に思わず奇声を上げるしかなかった。




「コナツ、コナツッ!?」


「なんですか?それは今、アヤナミ様からあなたに直々に手渡されたものでしょう?私はやりませんよ」


「だって、これ!!これ見てよ、コナツ!!!」


「そんなに近づけないでください、逆に見えな――ってなんですかこれは!?」


「超SSランクの書類だよ、これ絶対ッ!!初めて見た、いやなんでこんなものがここにあるのさ!?」



「ワカバ元帥と交渉してな。毎日一枚、この報告書を出す代わりに平常の職務を減らしてもらうことになった」



「うわぁ、数字みっちりですね……。少佐が最大限の力を出させる場を用意しつつ、平常職務が減る。――アヤナミ様も考えましたね」


「生かさず殺さずが私の教育方針だ。今までは少々こやつを甘やかしすぎた」


「よかったですね、少佐!こんなにもアヤナミ様に思われて」



「なわけないでしょ、コナツーーーッ!!俺は、」


「何を騒ぐ必要がある?」
 

「ア、アヤたん?!これ何なのさ?!嫌がらせ、嫌がらせだよね?!」


「嫌がらせなどでこんな手間を私がかけると思うか?」


「嫌がらせじゃなかったらこれは何さ?!」


「貴様に見合うレベルの仕事を用意したまでだ。嬉しいだろう?」


「でも、これは流石に、」


「大丈夫だ。お前がヤれるギリギリのものを選んでいるからな」


「ぅ、ぅ、う〜!!!アヤたんの意地悪ーーっ!」



己の全てを見透かし不敵に微笑む上司を前にヒュウガは泣き寝入るしかなかった。




「"The document is so technical that it surpasses comprehension!!"」










真剣に、言い訳をしてみる
(*その書類はすごく技術的に高度なため理解の範疇を超えます!!)







「他国の言葉を用いるほど嫌だというのならば、平常の職務をこなせ」


「うぅー……、横暴!!」


「何か言ったか?」


「何でもありません!!」




09,11,06(FRI)



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