ギンイヅSS

□神鳴り
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稲光が隊長の横顔を照らし、真っ直ぐな銀髪を雨の雫が伝い落ちる。
それはとても美しくて…
「どないしたん」
思わず見惚れてしまった僕の顔を不思議そうに市丸隊長が覗き込む。
「あ、いえ」
「なんや照れて、可愛えなあ」
慌てて目を逸らした僕を隊長が強く抱き寄せる。
「市丸隊長…」
濡れた着物越しに体の熱が伝わる。
じっとりと湿った体温。
胸が苦しい。
「イヅルもすっかり濡れてしもたなあ」
堪忍な、と水分を含んだ僕の着物を隊長が掴む。
「ボクもイヅルも着替えなあかんね」
「では、すぐに用意します」


「イヅル」
着替えを取り、戻った僕を隊長が呼んだ。
「帯、解いてみせてや」
「え?何故です」
「さっきから雷神さんがイヅルのおへそ、狙てんねん」
確かに、外では雷が激しく鳴っている。
「へ…へそ、ですか」
「せや。雷神さんに喰われてへんか見たる」
隊長はそう言うと、僕の袴を下ろし、腹に触れた。
「あ…」
「まだちゃんとおへそ、付いとるみたいやね」
「当然です」
「油断しとると、盗られてまうよ」
べろりと隊長の舌が僕の臍を舐める。
「隊長。冗談はそのくらいにして、着替え…」
「せやね。イヅルが風邪ひいてまう」
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