ギンイヅSS
□紅花翁草
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あれから数年。
今年もアネモネの花が咲く季節が来た。
僕は隊長が居なくなった隊舎に、アネモネを飾る。
「隊長」
市丸隊長の使っていた席に僕はひとり話しかけた。
「この花の花言葉、僕も調べました」
赤い可憐な花弁にそっと触れる。
「アネモネの花言葉は、恋の苦しみ…」
そして
もうひとつ。
「待ち人
来
(
きた
)
る」
いつ来るとも知れぬ待ち人を想って、僕はアネモネに口づけた。
(終)
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