ギンイヅSS

□視線
3ページ/5ページ

行為の最中のイヅルの目はいつもとは違い、うっとりと瞳を潤ませ、熱っぽく市丸を見つめてくる。
普段どこか陰のある、陰湿な表情とはまるで別人だ。
市丸は、それが唯一自分だけに向けられている事に満足していた。
瞬きひとつさえも色気がある。
「そないな顔されたら、いじめたなる」
市丸は自身でイヅルを深く貫くと言った。
「イヅルは口で言わへん分、目で訴えてくる。もっと酷いことして欲しいて目が言うてる」
「…知りません」
「隠さんでもええよ。ボクには分かる」
「でしたら、隊長のお好きなようにしてください」
イヅルが目を瞑り、市丸の背に手を回す。
「あかんよ。目開けとき。そのほうがそそる」
市丸の言葉にイヅルが深い湖のような双眸をゆっくりと開く。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ