十三姫物語
□出逢い
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アリアが生まれた年、天子様の結界を通り抜けた者がティーラ国に入ってきた。
「フィンディニア、国内の状態を見に行ってくれ。」
「はい、父上。」
ティーラ国第三王子フィンディニア・L・ティーラは、父親である国王の命により街へ出た。
「フィンディニア様、警護の者はいかがいたしましょう。」
「いいよ。
見に行くだけだから。」
優しそうに笑いながら城門をくぐり、馬にまたがると街へおりた。
街は何も変わらず平和そのものだ。
「やぁ、シレイナ。
変わったことはなかったかい?」
「フィンディニア様。
最近は物資の値段も平定しているから大丈夫よ。
今日はまたどうして降りてきたの?」
フィンディニアの許婚であるシレイナ・J・カーチェスは良家のお嬢様だ。
カーチェス家に行けば、だいたいの情報は入る。
「ん〜、まぁちょっとね。
父上の命さ。」
「あら、あたしに会いに来たとは言ってくださらないの?」
苦笑を浮かべるシレイナに苦笑で返すフィンディニア。
「そう言われてもねぇ…。
兄さんは?」
「あら、知りませんあんな方。」
拗ねたシレイナにフィンディニアはかわいい妹を見るように目を細めた。
「あの方はあたしより巫女様方がお好きなようですし。
全く、失礼にも呆れましたわ。」
「そっちが本音だろう?」