十三姫物語
□力の後退
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次期天子様となるアリアが生まれたため、現天子様の力が著しく後退していった。
「天子様、神はなんと…?」
天子様から神の言葉をまつ国王や王子。
しかし現天子様にはもう神からの声は聞こえなかった。
「―――――」
何も話さない天子様に不信に思った国王は、天子様の顔を覗き込んだ。
「なっ…!」
そこにあったのは、慈愛に溢れた天子様の顔ではなく、邪に満ちた絶望の表情だった。
「父上…!?」
すぐに国王のもとへ行き天子様の顔を見た、ティーラ国第一王子、ユーナロフ・I・ティーラ。
「王子たちを執務室へ。」
一大事の状況に素早く反応し、王子たちを集める。
「…ニコラスは控え室へ。」
第四王子のニコラス・D・ティーラはフィンディニアの3つ年下で、まだ成人の儀を行っていない。
まだ自国の政権に関わっていない子供に、国の一大事を容易く話すことはできない。
ユーナロフは父親を自室に戻すと執務室へ向かった。
「いきなりの召集は久しぶりだね。
そうとう大変なのかな…。」
フィンディニアは思案顔でアヴァンディラを見る。
「心配だね…。」
アヴァンディラは辛そうに顔を曇らせた。
「国に異常がきたした場合、全力でバランスをとるのが我々の仕事だ。」