十三姫物語
□出逢い
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東にある小さな島国、ティーラ国。
その国には、巫女と呼ばれる10歳までの女の子たちがいる。
5歳から5年間の間にある血脈の家系の女子は必ず巫女をつとめるのだ。
その間、人とは一切接触出来ない。
親元を離れ、皇族の男児としか会話を許されない。
外に出ることはおろか食事と睡眠以外で御神前から離れることはない。
御神前には常にお供え物が置いてあり、神と会話し神の意志を伝えるのが巫女の仕事。
巫女は心気を使い神と会話をする。
そして巫女の頂点に立つ天子様は島全体に結界をはり、外部から国を守ること。
天子様になれるのは巫女を5年間つとめてなお、心気を自身で養うことの出来る者。
天子様になれる者は50年に一度生まれる。
次代の天子様が育つまで、天子様の仕事は続く。
そして今年、天子様になることの出来る女児が生まれた。
「アリア、あなたは天子様になるのですよ。
民を守る存在に…。」
アリア・リスナー。
それが次代の天子様の名。
5歳を過ぎたらほとんど呼ばれなくなるであろうその名は、母が子供に唯一してあげられる愛情。
母親とは5年間しか過ごすかとが出来ない。
それがある血脈、『琵琶』の名を持つ家系の女子の運命。