創作
□ヒラリと落ちる花弁のように
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「あの…落としましたよ?」
「!…あっ」
「…泣いてるんですか?」
人込みの中凛と澄んだ声が私の耳に届く。
フラれたばかりの私は泣きながら歩いていた。
その人は私の携帯を手に持っていた。
「あ…りがとう御座います…」
私は俯きながら携帯に手を伸ばす。
携帯を掴むとその人は私の手を握った。
初めて私は顔を上げる。
「……!」
私は思わず息を飲んだ。
その人は背が高く金髪が良く似合っていた。
顔は中性的で男女問わず見とれてしまうだろう…
実際周りの人達もその人の事をチラチラとみては騒いでいる。
その人は優しい笑みを浮かべていた。
「あの…?」
「少しお話ししませんか?」
凛と澄んだ声と人当たりが柔らかい笑みのせいで私は思わず頷いてしまった。
「良かった。私祈願(キガワ)臣月(ミツキ)と言います。そこの病院で医師をやってるんです。」
「病院…?」
臣月さんは長い指で私の後ろをさす。
振り返るとそこには巨大な総合病院がたっていた。
そこは世界で一二を争う程の有名な病院だった。
「お医者さんですか?」
「ええ。外科医をやってます。」
臣月さんは名刺を渡す。
私は受け取る。
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