睡眠

□拍手お礼文
2ページ/26ページ


鋼の錬金術師 リザ夢


手の平に赤い液体。

血なのかな。

ぼんやりと両手の平を見つめながら目の前にいる愛しい人を見る。

「どうしたの?」

リザが心配そうにこちらを見ている。
私は口を歪ませた。

「犬が死んでたんだ」

道路の真ん中で死んだばかりだったのか血が流れていた。
何のためらいもなく私は犬を抱え埋めた。

「…そうなの」

リザは少しだけ困った様に眉を下げた。

「埋めてきたのね」
「うん。変な目で見られたけどね」

私は肩を竦め笑う。
リザは優しいから何も言わないけど私は正直不気味だ。
自分でも分かるくらいに。

「デート前に服汚れちゃったよ」
「そうね。取り敢えず手を洗いましょうか。」

リザは近くに水道を見つけて指差す。

「…そうだね」

私はリザの顔を見ないようにする。
きっとリザは私と距離を置きたいはずだから。
空気くらい読める。

「どうして」
「ん?」

リザが私を呼び止めるので取り敢えず振り返った。
いつもと変わらない笑みを張り付けて。

「どうして泣いてるの?」
「…泣いてないよ。」






それは犬の最期が私の最期を見ているようだと思ったから。

(犬も迷惑だろうね
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ