黒き心は闇を描く(くろきこころはやみをえがく)
□第五章
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ラスティがアレイヴに向けて冷ややかな目線を送った。
それに気付き、アレイヴは咳払いをすると、こう言った。
「話は変わるが…今日は遠足に行ってもらうぞ」
「…は?」
ヴェーレは眠たそうに目をこすりながら、アレイヴにそう言った。
「そんなに口を尖らせるなよ…今日、いきなり遠足に行く事を決めたのは、教頭先生なんだからな…」
どうやら、遠足は教頭が勝手に決めた事らしい。
「とにかく…遠足に行かなかったら成績を落とすからな!」
その言葉に、ヴェーレが肩を動かした。
成績が落ちては困る………仕方ない。遠足とやらに行く事にするか…
アレイヴが教室を出て、生徒達もそれに続いて行く。
…ただ1人、椅子から離れようとしない者がいた。
「お前…成績落ちるぞ。良いのか?」
ヴェーレは、机に座って今度はゼリーを食べ始めているソードに、不思議そうな顔でそう言った。
「えー、俺は別に成績下がっても良いし」
「それはお前のキャルがSだからだろ!」
ソードは性格も"S"なのだが。
ヴェーレはソードの手を、無理やり引いて行った。