黒き心は闇を描く(くろきこころはやみをえがく)
□第一章
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暗黒界。
今ここに、その性格故に死神界から追放された死神の少女がいた。
名はヴェーレ。
…初めから死神界のような箱庭にいる気はさらさら無かった。ヴェーレは喜んで追放勧告を受けたのだが、暗黒界に着いた後、何をすれば良いのか分からなかった。
それは当然の事である。てっきり魔界のような知名度が高い世界に追放されると思っていたヴェーレは、見た事も聞いた事も無い暗黒界に追放されて、少し戸惑っていた。
まぁ…行くあては無いのだが、取りあえず歩いて行けば良いだろう。
…そのヴェーレの考えは当たっていた。
目の前に人だかりが見えたのである。
その先には「暗黒学園」という立て札が着いた建物。きっと学園であろう。
唖然としてその学園を見ていたヴェーレに、1人の少年が話し掛けてきた。
「お前もこの学園の入学試験を受けるのか?」
そこには青い髪をした悪魔の少年がいた。見た目は自分と同じ、13歳程だ。
急に質問されたので、ヴェーレは答えられないでいた。
その様子を察知した少年は、静かにこう言った。