サイサス
□どういうお付き合いの仕方をするかは人それぞれで。
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「お前……なにが聞きたいんだってばよ」
こんなのサスケらしくねぇ。なんなんだよいったい。
「えっとその……」
「はっきり言えよ」
「……っ」
「なぁ、サスケ…」
「…っ例えばだ!!例えばの話だ!!」
「お…おお、なんだよ、言ってみろよ」
な、なんだ突然。目がマジだ…ちょっと怖い。
「例えばだ……付き合ってる相手がいる、として…その……っ誕生日には……どんなことをしたら……その…相手は、喜ぶんだ…?」
「へ??」
「いや!俺のことじゃない!!ちょっと聞いておこうと思っただけだ!!」
「はぁ……?」
…なんだこいつ……ワケわかんねぇ……自分のことじゃなかったら聞かなくていいじゃん。なんで…
「で?どうなんだ?だからナルト、お前だったら…ど、どうするんだ?」
「あ…えっと……誕生日だろ?プレゼント渡すってばよ」
「ああ、それはそうだけど…じゃあ他には?」
「他?オレだったら飯作る。せんせーの好きなものばっか作るってばよ」
「好きなもの…?アイツの好きなものって確か……。…豆腐って家で作れるもんなのか?でもそれって作ってもらって嬉しいのか…?」
「サスケ?」
「あ!?」
「豆腐がどうかしたのか?」
「いや!何でもない!気にすんな!!」
「?そう?」
…なんだこいつ。一人で豆腐がどうとか……豆腐職人にでもなりたいのか?
「で?他…には?」
「ほかぁ?んーと…」
「あるだろ。ほら、相手を……喜ばせること」
「あー?」
つーかなんでそれをオレに聞くんだよ。女の子を喜ばせたいんだったら女の子に聞いた方が早いだろ。サクラちゃんなんかそんなの大好きだぞ。もういいって言ったって協力してくれんぞ。でも料理のことは聞いちゃダメだな。サクラちゃんの料理って色んな意味ですげーって隊長言ってたし……いや、今はそんなのどうでもよくて、だからなんでオレ?せっかく聞きに来てくれて悪いけどオレってば女心なんて一ミリもわかんねーぞ?普段からサクラちゃんにはデリカシーの欠片も無いって言われてるし、第一ほら……オレの付き合ってる相手って……男じゃんか。……別にそれは自分で選んでそうなってるわけだから嫌だとか後悔とかじゃないんだけど、そんで自分でこんなこと言いたくないけどオレはどっちかっつったら(どっちかなんて曖昧に言わなくてもいいんだけど)オレは男役じゃないけど男なわけだしー……うー…自分で言ってちょっと凹んだ……だからまぁ……お前の参考には
「ってあぁーー!!」
「っだぁ!!バカ野郎!!突然なんだウスラトンカチ!!」
「だってだっておお…おまおまおまお前……」
「だからなんだ!!!」
「だっだっだってだって……」
そーだった忘れてた!!!すっかり忘れてたよ隊長と話したこと!!(ある意味すげーなオレってニワトリか!!)サスケってばサイと付き合ってかもしんねーって……ああー!!ってことはサイの誕生日!?サイの誕生日っていつだっけ…確か11月の終わり頃って、うわぁあ!!バッチリじゃんか!!やっぱそうだよそうなのかマジでか!!でも友達として祝うのかもしれないし……いや、一番最初に付き合ってる相手とか言ってたもんなーそっかーやっぱ付き合ってんのかー……………。…もしかしてオレとせんせーが付き合ってるって聞いたときの周りの気持ちってこんなんだったのかなー……既に男と付き合ってるオレがこんなこと言うのもおかしいけどやっぱビビるよな……ノーマルだと思ってた知り合いが突然同性と付き合ったらさぁ……いや、オレだって別に今は男が好きとかじゃないんだよ?せんせーだから好きになったんであって、オレだって悩んだし、諦められるなら諦めようとして、でもそんなの無理だから一緒にいようって、せんせーとだったら周りにどんな反応されても、もしかすると友達なんか一人もいなくなっちゃうかもって思ってもやっぱり諦められなくて今こうなってんだからえっとなにが言いたかったんだっけ…?えーと……だから……せんせーが特別なんだ。そうだよ。すごい覚悟があってのことなんだ。嬉しいことにオレとせんせーは今幸せだから、のほほんとこんな感じだけど、色々たくさん悩んだりもしてここにいるんだ。……きっとサスケもそうなんだ。こいつらの場合まだ周りに知られちゃいないけど(ってオレと隊長とサクラちゃんは知ってるか)、でもオレのとこにこんなこと聞きに来るなんて頭のいいこいつが、いくら相手が頭の鈍いオレだとしてもバレるかもしれないなんてことわかりきってるはずで、しかもプライドがバカ高いこいつが……それでもサイのために聞きに来るなんてよっぽどのことなんだ。よっぽど好きでよっぽどの覚悟なんだ。