Baby,It's you.
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月曜日の朝、7時半頃に、私は電車を降りました。
盟王高校の最寄り駅。
始業時間には、まだ、かなり時間があります。
朝のラッシュを避けるため、だそうです。
実際、座席に座って移動することが可能でしたし、改札だって、押されることなく通ることが出来ました。
すべて、蔵馬さまの計らい。
蔵馬さまの、提案なのです。
『すみません、蔵馬さま』
「なにが、ですか」
『気を遣って頂いて。
蔵馬さま、いつもよりも、早起きなのでしょう』
左隣を歩く蔵馬さまを見上げると、相変わらずの、春の笑顔。
蔵馬さまは「ああ」と呟いて、首を横に振りました。
「いつも、俺が乗ってる電車は、満員だから。
紗々も、いきなりあれではね‥」
蔵馬さまはそう仰って、少し困ったようなお顔になります。満員の電車に、苦い思い出でもあるのでしょうか。
あまり、深いところは尋ねない方が良さそうです。
いまは、お礼だけ申し上げておきましょう。
さあ、蔵馬さまは、今日から新学期。
私は、今日から新生活です。