seven-TH-heaven

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 捕えてしまえば、あとは簡単だった。


 セブンスのオーラ量は莫大であったが、扱い方を知っているわけではない。


彼女は、念能力者ではないのだ。


 纏さえ覚えていないセブンスの身体からは、オーラが立ち上っている。


 本来なら、すぐにオーラが枯渇して、身体が動かせなくなる状態だ。



 しかし、セブンスの精孔から立ち上るオーラは止まらない。


 念糸に縛られ動けなくなったところを、シャルナークに殴られ失神しても、セブンスのオーラは尽きなかった。



「阿呆みたいな量のオーラね。何者なの、この子」



 マチがフィンクスの肩に担がれているセブンスを見る。指先からは、念糸が伸びていた。


「“進人類”」



 先頭を進むクロロが言う。


 シズクは首を傾げた。



「“進人類”?なんですか、それ」


「アジト出る前に、団長言ってたじゃん、覚えてないの?」


「そうだっけ?」



 パクノダとマチが顔を見合わせて肩を落とした。


シャルナークは会話を聞いて、笑う。


それから、「あ、そうだ」とわざとらしく振り返る。


「サンキュー、マチ」


「なにが」


「その子、殺さないでくれて」親指で、後ろのセブンスを指差す。


「ああ」



 マチが溜息のように言った。


「殺さないように闘ってたの、見え見えだったし」


「あ、ばれてた?」


 シャルナークが舌を出す。


 全く可愛いと思えなかったので、マチは顔を逸らした。


「隠してるつもりだったの?」


「いや、全然」


「‥‥いいよ、もう、どうでも。

 で?どうすんの、その子」



 再び、マチがセブンスを見た。


 未だにオーラは立ち上っている。活火山の煙のようだと思って、納得した。


そうか、これが“進人類”か。



「目が覚めるのを待って、パクノダに尋問して貰う。“進化論”の手掛かりかも知れないからな。

 頼むぞ、パクノダ」


「了解」



 パクノダが右手で挙手をする。



 後ろでフィンクスが吠えていた。


「あの野郎。次はぜってー勝ってやる」


 悔しそうに歯軋りする横顔に、シズクが「あれ?」とフィンクスを見た。


「殺してなかったの?あの大男」


「あと少しだったのに、団長が撤退って言うからよ」

 シズクの方を見ないまま、フィンクスは「くそっ」と吐き捨てた。


 シズクが「ふぅん」と相槌をつくが、あまり興味はなさそうだった。



「団長は良かったの?」


 二人の会話を聞いて、シャルナークがクロロに聞いた。


「何がだ?」


「あっちの小さい子、殺さなったよね。

 ほら、団長と闘ってた‥‥」



 シャルナークが人差し指を空に向ける。しかし、すぐに顔を顰めて、腕を押さえた。


 クロロは足元を見て考える。小さい子というのを、思い出していた。



 少しして、「あ」と言って顔を上げる。


「忘れてた」




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